大地
豊かな大地が育む八幡平の味
山では山菜やキノコ、里では野菜や果物が実り、
牧草地では牛がのんびりと草を食む。
豊かな八幡平の大地だからこその風景である。
広大な「大地」が
育てる食の恵み
桜は夏、暑さが苦手な牛の日よけになるという。
盛岡市から国道282号を北上すると左側に形のよい山が見える。「南部片富士」の別名を持つ岩手山である。八幡平市は、この岩手山から三ツ石山、八幡平、茶臼岳、前森山、七時雨山へと山々が連なり、裾野にのどかな里山の風景が広がる。
八幡平市の春は、4月中旬の冬季閉鎖だった「八幡平アスピーテライン」の開通から始まる。雪解けを待って咲く高山植物の花々、里では桜が満開となる。岩手山は「厳鷲山」と呼ばれ、春になると山頂付近に雪解けによって現れる「鷲型」が見えると、田植えの準備が始まる。岩手山の裾野に広がる牧野では、乳牛や肉牛の放牧が始まる。
新緑の季節になると、トレッキングシーズンの到来。5月下旬の八幡平山開きを皮切りに、七時雨山、裏岩手連峰と続き、7月1日は岩手山の山開きとなる。リゾート地である安比高原では、夏の涼を求めてブナ林を散策する人でにぎわう。
八幡平の夏は短く、9月になると風に秋の匂いが混じってくる。10月下旬には紅葉で山々が色づき、11月に入ると駆け足で冬がやってくる。
八幡平の冬は寒さが厳しい。岩手山が裾野まで白い雪に覆われ、八幡平では樹氷が出現する。厳しくも美しい風景が広がる。自然が豊富で、四季ある地であるからこそ、さまざまな食材をつくることができるのだ。
作り手の愛情がおいしい農作物を育てる。
冷涼な気候と風土が
おいしい野菜を育てる
八幡平の野菜や果物はおいしいといわれる。
おいしく育つには理由がある。そのひとつが昼と夜の気温差が大きいこと。夏になると昼は30度近くなっても、朝夕はぐっと冷える。野菜や果物は昼夜の気温差が大きいほど、糖度が高まるという。
もうひとつは、寒さが厳しく、雪が多い土地であること。八幡平市は、安比高原スキー場や八幡平リゾートなど、上質な雪質を持つスキー場がある雪国である。八幡平市には、冬の寒さを利用した特産品がある。冬の寒さにさらした「寒締めほうれん草」だ。ほうれん草や小松菜などの葉物野菜は、寒締め効果によって糖度が上昇し甘い味になるという。「WILDGRAPE FARM」の山ぶどうも霜にあてることで果実を完熟させ、より糖度を上げている。
八幡平市の作り手は、この自然と寄り添いながら、作物をつくり、牛や鶏を育てている。そして、つくられた食材からは、八幡平の自然の恵みが感じられる。それがおいしさにつながっているのだろう。