八幡平の作り手 酪農からその先へ ふたりの夢と願いが詰まった
「牛乳のアイスクリーム」 Ludens Beautiful Hope
Mow Mow Farm 梶本希さん・美香さん


「誰もが気軽に訪ねてくれる農場をつくりたい」
ふたりの夢は、八幡平市の小さな農場でカタチになろうとしている。
愛情をたっぷり注がれた乳牛たちの乳からつくるアイスクリームは、
「食べて幸せになれるように」と願いが込められている。
夢を現実のものにするためにも
良い乳牛を育てなくてはならない
「Mow Mow Farm」の梶本希さんと美香さんがつくる「牛乳のアイスクリーム」は、牛乳約70パーセントも含んだもの。牛乳量が多いのに、舌にのせた途端、粉雪のようにふわっと溶け、優しい甘さが口の中に広がる。
このおいしさの秘密は、牛乳にある。
「おいしいアイスクリームやジェラートをつくるなら、原料となる牛乳が良質でなければならない。そのためには、健康な乳牛を育てなくてはならない」
当たり前のことだが、実行するのは容易くない。牛舎の環境整備と維持、飼料の配合とやらなれればならないことがたくさんある。何よりも乳牛の生命を預かる使命がある。
そもそも梶本さんたちは、ふたりとも両親は非農家で、新規就農者である。
希さんが育った八幡平市松尾地区は酪農地帯で、昔から乳牛や肉牛を飼っている農家が多く、酪農は馴染み深いものだった。
「本格的に酪農を志したのは高校時代。近所の牧場でアルバイトをしたのがきっかけでした」と希さん。岩手県立農業大学校に進学し、ここでパートナーとなる美香さんと出会った。一方、美香さんの入学志望動機は「動物が好きだから」。志望動機が異なるが、ふたりの目的は同じだった。
「牛を飼いたい!」
結婚した翌年の平成19年(2007)に小さな牛舎を借り、12頭からスタートした。現在、約30頭の乳牛を育てている。
与える飼料は、八幡平の牧草地の草、デントコーンがメイン。草は、堆肥を使い、土からつくっている。自然の草だから、季節で牛乳の味が変わると希さんは話す。
「冬は濃く、夏は薄くなります。栄養価が高いのは春の一番草のときです」


美香さんの願いをカタチに
誰もが憩える農場をつくるために
美香さんには夢があった。
「アルプスの少女ハイジのようにチーズをつくって暮らしたい」
手始めにジェラートとアイスクリームの販売を始めた。ジェラートを販売するにあたり、ブランド名を「農枝夢」とした。「農業という幹から枝のように広がるたくさんの夢」という意味だ。
ジェラートは、レギュラーはミルク味など10種類、季節ごとに1~2種類をつくっている。手づくりとフレッシュ感を大切にするため、イベントでの販売をメイン。常設では、盛岡市の小綿商店のみでの販売だ(春から秋まで)。
そして、もっと多くの人たちに八幡平の自然で育った乳牛から搾った牛乳のおいしさを知ってほしいと、通販にも対応できる「牛乳のアイスクリーム」もつくった。
ふたりは、希さんのお父さんがサラリーマンを辞めてつくった「ルーデンス農場」に工房を建て、通年でジェラートやチーズ、パンを販売できるようにしたいと考えている。
ルーデンス農場は、林に囲まれた丘陵にあり、グリーンシーズンには青々とした牧草と、季節の花が咲いている。
「いつか、ルーデンス農場を誰もが気軽に訪れ、楽しめる場所にしたい。そのためにはよい乳牛を育てなければと思うのです」
乳牛は経済家畜である。しかし、生命のあるもので、愛情いっぱい育てなければならない。夢の実現には、八幡平の自然と乳牛が欠かせない。そんなふたりがつくるアイスクリームには夢が詰まっている。


おいしいアイスクリームやジェラートをつくるために、最も重要なのは、原料となる牛乳が安心・安全でおいしいこと。そのためには、健康な乳牛を育てなくてはならない。希さんは、八幡平産の牧草やデントコーンをメインに配合飼料を使って育てている。
Ludens Beautiful Hope
Mow Mow Farm
岩手県八幡平市松尾5-814-1
TEL 090-7564-9387
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