八幡平の作り手 安比の森から全国へ 自然に近い状態で育てる
「安比まいたけ」 有限会社安比まいたけ 羽沢寿隆さん
「安比まいたけ」は、全国の料理人から高評価を受けている。
なぜなら、大きさ、傘の厚み、歯応え、味のどれをとっても抜群だからだ。
高みを目指して、先代は研究を重ね、息子も技術の向上を図った。
その根底にあるのは、安比の自然。清冽な水と空気が上質のまいたけを育てている。
地元産のナラのおがくずが
高品質のまいたけを育てる
まいたけは、いまでこそ大量生産により馴染み深い食材となったが、30年ほど前までは天然もののみで、マツタケに匹敵するほどの高値で取り引きされていたという。
「先代である父がまいたけ栽培に取り組んだのは、昭和50年代のころでした。試行錯誤を繰り返し、独自の方法で高品質のまいたけ栽培に成功しました」と話すのは、「安比まいたけ」の代表・羽沢寿隆さん。
その栽培は、まいたけ用の菌床をつくることから始まる。おがくず、ふすま、水、トウモロコシを袋に入れて高圧殺菌する。羽沢さんは、「この過程がいちばん大事。ここで全てが決まる」と話す。
「おかくずの原料となるのは、自社所有山林のナラ。おがくずの粒径、配合によって生育に影響を及ぼします」
まいたけの種菌を植えつけたあとは、80日間かけて培養される。
安比まいたけの培養室は、生育状態に応じて細かく湿度・温度・酸素量が設定されている。
「自然に近い状態で栽培するため、種菌を植えたばかりのときは、安比の夏の気候に設定し、発芽したら秋の気候を再現した部屋に移します」
秋の気候を再現した部屋は、常に室温を15度〜20度に設定。地下60メートルからくみ上げた地下水が噴霧され、山にかかる朝靄のような感じがする。そして、収穫間近になると、まいたけは20センチ以上の大きさになり、傘も肉厚となる。形もまるでバラの花のように美しい。
「先代は、息子の私がいうのもなんですが、変わった人でした。農家なのに農薬が嫌いで、安心して食べられるものがいいと話し、農薬を使わなくても育つまいたけの栽培を始めました。それは、私の代になって変わっていません。化学肥料は一切使用せず、無農薬で栽培しています」
細心の注意を払って育てられた安比まいたけは、料理人からの評価も高く、全国に向けて発送されている。
現在も高品質のまいたけを栽培するため、さまざまな工夫をしている。 まいたけの種菌を植えた菌床。
発芽するまで、夏に近い状態を維持した培養室で育てられる。
天然ものに近い環境で
育てる露地栽培
安比まいたけでは、菌床栽培のほか、露地栽培も行っている。収穫後の菌床を畑に植え、広葉樹の落ち葉で覆い、再び栽培する。
「遮光シートで日光を遮り、地面に落ち葉を敷き詰めることで、森の環境に近い状態をつくります」
春先に植えた菌床は、秋になると直径60センチほどの大株になる。半自然栽培で育てたまいたけは、風味があり、食感も格別だ。
「八幡平市内でも安比は、冷涼な地で、空気も澄んでいる。水もきれい。こういう地だからこそ、肉厚でしゃきっとした歯応えのあるまいたけが育つのです」と羽沢さん。
まいたけは、栄養学的にはビタミン類やミネラル、食物繊維が豊富で、免疫力を高めるという。しかも、カロリーが低く、炊き込みごはん、バター炒め、天ぷらなど、さまざまな料理に使えるとあって、健康食材として注目を集めている。
「まいたけは、山の木々から栄養をもらって成長し、残ったホダが土に還って山の木々を育てます。私が菌床の原料となるナラの木を安比の山に求める理由のそこにあります。自然エネルギーを循環させることで、山を育てます。これからも、地域資源を活用したまいたけ栽培に取り組んでいきます」
まいたけの栽培において重要なのが酸素の供給量。菌床を入れた袋内の二酸化炭素が過度に高まると、傘の形状が変わったり、収量が落ちたりするという。それを避けるために、適切に酸素を供給する必要となる。
有限会社安比まいたけ
岩手県八幡平市田の沢123-3
TEL 0195-72-3366
HP http://www.appimaitake.co.jp/
お知らせ
2018/9/3のTV放送以降、注文が殺到しすぐに出荷できない状況が続いておりました。お待ち頂いた皆様には心よりお詫び申し上げます。現時点では、ご注文後ほとんどお待たせすることなく、出荷可能な状況となっております。皆様からのご注文を心よりお待ちしております。