八幡平の作り手 オーガニック栽培で
人も大地も守る
大地と共に生きる
半農半介護で進める循環型農業
合同会社八幡平自然商社 髙橋和人さん

メーカーの場所 イメージ写真

岩手県で唯一の在来種のニンニク
有機栽培で育てられた「八幡平バイオレット」
一般的なニンニクよりひと回り大きく、香りが高いため、
食材にこだわるレストランから、注目を集めている。

「オーガニック食材を高齢者に」という
思いから始まった半農半介護

 ライフスタイルの一つに「半農半X」というものがある。京都府出身在住の塩見直紀氏が提唱しているもので、持続可能な農業をベースにし、自分にとってやりがいのある仕事に携わる生き方である。「X」に入るのは、自分がやりたい仕事ならば飲食店でもエンジニアでも大学生でもいい。この半農半Xを八幡平市で実践しているのが、髙橋和人さんである。
 髙橋さんのXは介護。現在、八幡平市内で介護分野に特化した「特定非営利活動法人里・つむぎ八幡平」、農業と福祉連携を担う「一般社団法人すばる」、「一般社団法人すばる」で栽培した農産物の加工と販売を担う「合同会社八幡平自然商社」を運営している。
 里・つむぎ八幡平は、宅老所(認知症対応型デイサービス・住宅型有料老人ホーム)、共生型小規模多機能ホーム、障害者グループホームがあり、どの施設にも「まるごとケアの家」という名前が付けられ、利用者や家族の同意を得て看取りケアも行っている。一方、すばるでは、ブランドニンニク「八幡平バイオレット」のほか、米や野菜を有機栽培している。加えて、八幡平自然商社では、すばるの農産物の加工や販売、広告宣伝を行っている。

 髙橋さんは、農家の五代目として生まれた。若い頃は農業に未来を見出せず、岩手県立盛岡第三高等学校から早稲田大学(東京)へと進学し、中退後は国内外でさまざまな職業に従事したり、盛岡市内で15年間にわたりインテリア店を営んだりした。
 福祉業界に携わるようになったのは40代前半。高校時代の先輩から声をかけられ、特別養護老人ホームの立ち上げに関わり、事務長や施設長も務めたという。そして、2011年(平成23)、母親が認知症を発症したのをきっかけに、八幡平市内に里・つむぎ八幡平を開設した。
 「開設したとき、父親が残してくれた田畑があったので、自分で育てた米や野菜を施設の食事に使いたいと考えていました」
 しかし、農家に生まれながらも、農業経験のない髙橋さん。周囲に勧められるまま農薬と化学肥料を使った米や野菜を栽培していた。そして、ふと疑問を感じたという。

姉妹団体が管理している就労継続支援B型事業所「すばる」。農業部門栽培されたニンニク「八幡平バイオレット」がここで分別・仕分けされる。 姉妹団体が管理している就労継続支援B型事業所「すばる」。農業部門栽培されたニンニク「八幡平バイオレット」がここで分別・仕分けされる。 「すばるファーム」の農地。ここでニンニク「八幡平バイオレット」やジャガイモを有機栽培している。 「すばるファーム」の農地。ここでニンニク「八幡平バイオレット」やジャガイモを有機栽培している。 「合同会社八幡平自然商社」代表・髙橋和人さん(右)と農業部門を統括している遠藤一さん。 「合同会社八幡平自然商社」代表・髙橋和人さん(右)と農業部門を統括している遠藤一さん。

 「僕が小さいころ、U字溝のない普通の小さな川があって、ヤモリやドジョウがたくさんいた。夏にはホタル、秋には赤トンボが飛んでいた。しかし、現在はみかけないですよね。そういうのを見て、いまの農業に疑問を感じたのです。生物連鎖が必要なのではないかと。自分の周囲だけでも、子どもの頃にあった田畑にしようと思ったのです」
 それが有機食材の栽培へとつながった。
 また、施設を利用する高齢者の多くが農業経験者であることも起因した。
 「うちの施設では看取りも行っているのですが、利用者さんは自然を身近に感じ大地とともに生きてきた方々がほとんど。だからこそ、できれば、無農薬・無化学肥料で育てた地域の食材を使った料理を食べていただき、それでお見送りしたいと思うようになったのです」
 有機栽培に取り組むにあたり、本を読み漁っていくうちに、介護にも農業にも「命の循環」があることに気づいた髙橋さんは、「半農半介護」を本格的にスタートさせた。

岩手県内唯一の在来品種
希少価値が高い「八幡平バイオレット」

 岩手山を眼前に臨む場所に農地があり、現在は水田2ヘクタール、畑2.3ヘクタールで、米のほか韓国唐辛子、ジャガイモ、ネギなどの各種野菜を栽培している。ニンニクは、八幡平市の在来品種「八幡平バイオレット」に絞って育てている。これまで、岩手県版農業生産工程管理(GAP)・特別栽培農作物等の認証を受けてきたが、2022年(令和4)に有機JAS(対象となる農林物資:野菜(にんにく))の認証を取得した。

 八幡平バイオレットは岩手県内で唯一の在来種のニンニクで、2017年(平成29)に八幡平市が種苗登録を行った。高橋さんが栽培を始めたのもその年からで、無農薬・無化学肥料での栽培に変更したのは2020年(令和2)からだ。
 八幡平バイオレットは外皮が美しい紫色をしており、一般的な品種と比べ1粒が大きく重さがあり、アリシンやアントシアニンが多いのが特徴である。10月下旬に種植えを行い、厳しい冬を雪の下で過ごし、雪解けが始まる3月中旬頃に芽が出るという珍しい品種だという。7月頃に収穫が始まり、乾燥を行ってから出荷される。福地六片などの有名品種と異なり、近年まで栽培法が確立されていなかったこともあり、現在でも生産している農家が少ないため希少価値が高く、市場にもあまり出回らない。
 手作業で行われる株分けや除草作業、トウ摘みなどは就労継続支援B型事業所「すばる」のメンバーも行う。丁寧な作業が高品質の維持に欠かせない。
 髙橋さんは、その中でも「土づくりが大切」と話す。有機栽培を始めた年は土が固かった。しかし、2年3年と手入れをしていくうちに柔らかくふかふかとした土壌に変化していった。品質保持のために種の選別も妥協しない。
 「きれいな形のよいニンニクを種にして、翌年に備える」
 そうして収穫された八幡平バイオレットの一部は「黒にんにく」や「にんにくチップス」に加工される。

収穫したての「八幡平バイオレット」。外皮が薄い紫色をしている。 収穫したての「八幡平バイオレット」。外皮が薄い紫色をしている。 一般的なニンニクより大きく重い八幡平バイオレット。大地に根を張り、栄養を蓄えている。 一般的なニンニクより大きく重い八幡平バイオレット。大地に根を張り、栄養を蓄えている。 収穫後、球と茎を分け、球は乾燥し分別してから出荷される。茎は炒め物に最適。 収穫後、球と茎を分け、球は乾燥し分別してから出荷される。茎は炒め物に最適。

有機栽培の八幡平バイオレットで
つくられた「黒にんにく」

 「八幡平バイオレット」は、2022年(令和4)に有機JAS認証を受けた農薬・化学肥料をいっさい使っていないオーガニック食材。「黒にんにく」は、皮をつけたままのニンニクを波動熟成黒にんにく製造機に入れて、温度や湿度の管理を行いながら、40日から50日かけて低温で熟成させて完成する。
 ドライフルーツのような甘みと食感があり、マイルドな味わいのため、黒にんにくが苦手な人でも食べやすい。抗酸化作用があり、ポリフェノールが多く含まれているため、免疫力アップにつながるという。
 そのまま味わってもよいが、カレーの隠し味に使ったり、サラダやブルスケッタのトッピングにしたりするのもいいだろう。
 また、八幡平バイオレットをスライスして乾燥させた「にんにくチップス」もあり、調理用乾燥ニンニクとして使い勝手がよい。

 「特定非営利活動法人里・つむぎ八幡平」の施設の大きな窓から庭の木々や花、畑が見える。その先には雄大な岩手山も臨む。農作業をする髙橋さんたちを見て、農家経験者である利用者が畑を見て、アドバイスをくれることもある。
 「ずっと大地と共に生きてきた方々です。農業が身近にあった人たち。それが高齢になって農作業ができなくなり、つらい思いを感じてしまう。しかし、実際に農作業をしなくても、アドバイスをしたり、1本でも草を抜いたりすることで、〝自分も何かできる、役に立っている〟と思える。そういう環境をつくりたかったのです」
 そして、収穫されたオーガニック野菜は施設の利用者の食事として提供され、さらに里・つむぎ八幡平で運営する「古民家食堂 なつかしの家」でも食材として使用される。八幡平バイオレットを使った料理は、サラリーマンを中心に人気があるメニューだ。
 髙橋さんは、八幡平バイオレットをはじめ、「すばるファーム」で栽培したオーガニック食材を八幡平市から全国へと広げていきたいという目標がある。それが自然と共に生きていくことにもつながるからだ。

オーガニックの八幡平バイオレットを加工した「黒にんにく」。ドライフルーツのような甘みと食感が特徴。 オーガニックの八幡平バイオレットを加工した「黒にんにく」。ドライフルーツのような甘みと食感が特徴。 軽食にもおつまみにもぴったりの「ブルスケッタ」。フルーティな風味の「黒にんにく」をカットしてトッピングすれば、チーズや生ハムの塩味を引き立てるアクセントに。 軽食にもおつまみにもぴったりの「ブルスケッタ」。フルーティな風味の「黒にんにく」をカットしてトッピングすれば、チーズや生ハムの塩味を引き立てるアクセントに。 手軽に使える「にんにくチップス」。水かぬるま湯で戻してから使っても、そのまま砕いてサラダにトッピングしてもOK。 手軽に使える「にんにくチップス」。水かぬるま湯で戻してから使っても、そのまま砕いてサラダにトッピングしてもOK。

合同会社八幡平自然商社

岩手県八幡平市田頭12-93-1
TEL 0195-68-7523

 

商品写真

すばるファームのオーガニック黒にんにく150g

製造者:合同会社八幡平自然商社

1,944円(税込)

商品番号:HC022-0001

八幡平在来種のオーガニックにんにく「八幡平バイオレット」を原材料とする有機加工JAS認証を頂いたオーガニック黒にんにくです。

作り手の名 合同会社八幡平自然商社
原材料名 八幡平バイオレット(にんにく)
賞味期限 令和7年12月13日
アレルゲン なし
内容 黒にんにく 150g
配送タイプ 常温
納期について 注文日から1週間
商品写真

八幡平バイオレットのニンニクチップス

製造者:合同会社八幡平自然商社

324円(税込)

商品番号:HC022-0002

八幡平在来種のオーガニックにんにく「八幡平バイオレット」を原材料とするオーガニックにんにくチップスで、有機加工JAS認証申請中です。

作り手の名 合同会社八幡平自然商社
原材料名 八幡平バイオレット(にんにく)
賞味期限 製造日から1年
アレルゲン なし
内容 ニンニクチップス 25g
配送タイプ 常温
納期について 注文日から1週間
商品写真

八幡平バイオレット

製造者:合同会社八幡平自然商社

2,160円(税込)

商品番号:HC022-0003

オーガニックにんにく「幻の八幡平バイオレット」バラ 500gパックです。農薬・化学肥料を一切使わず、自然の恵みと人の力を合わせて育てた、オーガニックにんにくをぜひお試しください。

作り手の名 合同会社八幡平自然商社
原材料名 八幡平バイオレット(にんにく)
賞味期限 到着後、1か月
※生ものですのでお早めにお召し上がりください。
アレルゲン なし
内容 八幡平バイオレット 500gパック
配送タイプ 常温
納期について 注文日から1週間
商品写真

にんにくパウダー

製造者:一般社団法人すばる

25g単位 324円(税込)

商品番号:HC022-0004

八幡平近郊で栽培されているオーガニックにんにく「八幡平バイオレット」。 八幡平市内で唯一有機栽培で育てたオーガニックにんにくを、パウダーに加工し お手軽に調味料として使える商品です。

販売者 合同会社八幡平自然商社
原材料名 オーガニックにんにく(有機転換期間中) 岩手県八幡平市産
賞味期限 製造後1年
アレルゲン なし
内容 25g
※標準では25gではありますが、内容量変更ご希望の際はご相談下さい。
配送タイプ 常温で配送します。注文量に応じた方法で配送します。
納期について 注文後、1週間以内